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1000年の疎遠…日本と中国

2008年8月号

 NMNのメッセージ「冠婚葬祭のなぜ?」を英訳して、素顔の日本人紹介本をつくる最終段階にあります。そこで不思議な感覚にとらわれました。日本語版をつくっているときには特段のこととは思わなかったのですが、英語に翻訳してみると、「中国から伝えられた」という表現がいかに多く出てくることか。まるで中国文化紹介の感があり、日本の基礎が中国との交流によって築かれたことに改めて気付かされます。

 北京オリンピックの開会式で古語が発信されました。「朋あり遠方より来る。また楽しからずや。」…私たちにも馴染み深い孔子の言です。一緒に開会式を見て いた中国人のJさんがこの言葉の意味を解説し始めると、不思議な気持ちに襲われた後、あー、これは中国の言葉だったネと再確認したものです。「中華」大国 から文化を受け継ぎ、独特の感性で似て非なる文化を創造してきた日本。そういえば、894年に遣唐使を廃止して以来この方、日本と中国は1000余年にわたって、疎遠だったのではないかと思い当たりました。濃い影響を受けて同種文化を共有する日本と中国。しかし1000余年の疎遠を経て、お互いに似て 非なるカルチャーに生きていると思っている不幸。

 最近とみに中国のことを見聞きする機会が増えてきました。ほとんどアメリカ一辺倒だった私たちの国際感覚に、中国は良くも悪しくも新鮮に映りますが、そのイメージの良否に落差が大きいことに戸惑います。
 オリンピックの開会に際し、中国政府の高官が「これからは中国とアメリカが世界を制する」と言ったとか。中国13憶の民のスケールが、結局地球を破壊する、云々カンヌン…国家レベルでみると、中国のスケールの巨大さと唯我主義に「脅威」という言葉が付きまといます。同じように国家レベルの日本は中国人に、帝国主義の猿真似をした侵略悪国と映っているから、国家レベルでものを見る限り、親交への道のりははるかに遠い感があります。何せ1000余年 の疎遠があるから…。

 そういえば、ずいぶん前に「ロシアは恐ろしい国だが、ロシアの民は素朴で人懐っこくて素敵だ」という本がありました。この視点にはとてもよいヒントがあると思います。中国の民もそうだ。虐げられた民は、侵略と権力交代の繰り返しの中で、権力の寿命を見据えて耐える強さとしたたかさを身に付けた。威 張る権力には面従腹背でその衰退を待ち、個人の友と家族をこそ大切にする。

 国家レベルの1000余年の疎遠を解消できるものは、民間の交流と個人レベルの交友の中で、ひとつひとつ「日常の信頼」を築き合う努力にしかないと思います。

 さてその日常性の中で、私は何を始めよう?
 まずはNMNのメッセージ「冠婚葬祭のなぜ?」を中国の友Jさんと一緒に中国語訳本として出版し、素顔の日本人の生活のリズムを伝え、実はそれが中国との交流の中で築きあげられたことを中国の人たちに伝えていきたいと思う。お互いに、「友あり、1000年の遠方から来る。また楽しからずや」… だ。                              

 【工藤】


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