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工藤さん

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中国と向き合う

2014年1月号

 隣の中国とどう向き合えばよいのか?…大変な課題だ。中国は嫌いだと、90%の日本人が思っているようで、「何とも気持ちの悪い国」というイメージが、最近はすっかり定着してしまっているようだ。
 傍若無人で騒々しくて、痰を吐きまくる汚ない立ち居振舞い。PM2・5という汚染毒を垂れ流し、偏西風に乗せて知らん顔。垂れ流しといえば、中国の食品にはどんな危険物が入っているかわからない。何でもかんでもコピーして平気な国柄。国柄といえば、中国は歴史的に覇権・侵略国家であり、自らを中心に据えた「中華」の思想はつとに有名であるが、近年その本質を剥き出しにしてきた。韓国はすでに、中華・中国の「フリンジ国」になってしまった。
 中国は先だって、防空識別圏に名を借りた、東シナ海上空域の管轄権を主張したばかりだが、今度は東、南シナ海にとどまらず、西太平洋までの海洋覇権を狙って軍機構改革を行うらしい。一党独裁で自由弾圧国家で、いつ何をしてくるかわからない、共産党の密室国家…中国。なにより15億の人口で世界の食を食い漁り、世界のエネルギーを堀り尽くしてしまいかねないと恐れられている国などなど…。こんな国と隣同士にあり、否応なしに付き合っていかねばならない運命にある日本…。

 しかし、中国は厭だからと、アメリカの傘の中に居場所を決め込むことはもはやできない。米中の国力バランスは、次第に中国寄りに変わっていくだろうし、アメリカはこの大国中国を牽制する存在としての日本を大事にはするだろうが、中国と摩擦を起こしてまで、本気で日本を守るなどという損な役回りをやるはずがない。むしろ旗色が悪くなれば、露骨な日本外しさえやるだろう。かってニクソンは、日本の頭越しに中国と手を握った。そしていま習近平は、太平洋を二分しようと、アメリカにシェークハンドの手を差し出している。
 否応なしに日本は、中国と至近距離で向き合わなければならない。その運命を真正面から受け止める覚悟が必要で、我慢もし、好きになろうと努力もし、必死の手練手管も織り交ぜながら、何とかかんとか付き合っていくしかない。日本人が背負わされた課題だ。

 はてさてそれで、そんな中国と、何をどう仲良くやればよいのか。結局のところ、中国や中国人に付きまとうネガテイブ・イメージに振り回されないで、生身の中国のひとを、ひとりでもふたりでも身近な友として持つことから始めるしか道はないのだろう。

 生身の中国のひとといえば、中国に明るい兆しがあるらしい。かつて長期にわたって世界に君臨してきた大国・ローマがあった。そのローマは、異文化に寛容な仕組みを編み出していた。ローマのパックスロマーナは、統治する国にローマのやり方を押し付けるのでなく、その国の異文化と融合しながら統治することで、世界制覇の大義を保持してきた。
 近代の覇権国家アメリカも、世界から異人種を受け入れ、異人種の坩堝としてのやり方を編み出した。対極にあるのが中国で、成吉思汗と同じ弾圧型の統治手法しかもたない。
 
 その中国で、塩野七生さん著の「ローマ人の物語」の刊行が決まったという。唯我独尊の一党独裁にほころびが露になりつつある中、この本が伝える大人の国ローマとローマ人の叡知に、できるだけ多くの中国のひとびとが触れることを望みたい。そして寛容や共生や文化性というやさしい本質に気づいてほしい。文化性といえば、文化は個性であり、個性は抑圧からでなく、自由の上にこそ生まれるものだ。被抑圧の民・中国のひとびとが、このローマの自由を学んで渇望し、次第に寛容、共生の必要性に目覚めていくことを心から祈るものだ。

 この小さく新しい息吹が、大きな潮(うしお)となることを祈りながら、私たち日本人は、これまでに溜まり溜まった不毛の中国イメージを冷凍して、ひとりでも多くの「目覚める中国のひと」を迎える努力をすることだろう。【工藤】

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