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ノーモア 原発
2011年6月号
近代日本は、明治維新期と 1945 年の敗戦期の 2 回にわたり、根本から国をつくりかえた。明治期には、廃藩置県で、殿様をも失業させる革命的な世直しを断行した。昭和敗戦期は、アメリカ主導ではあるが、歴史の連続性をも断ち切った、ゼロからの再出発であった。
今回の地震・津波・原発事故の災害は、豊かな自然の恵みを謳歌してきた現代日本人に、歴史上 3 回目の課題を背負わせた。美しい日本列島は実は火山大国であり、活断層を地層にもち、3つのプレートが重なり合った上に乗っかった世界に稀な列島である。 その列島の「さだめ」に合った新しい国づくりが、いま求められている。
1 回目の国直しは、制度の切り替えであり、 2 回目はゼロからの這い上がりであったのに対し、 3 回目の今は、過酷な自然事情に、原発という人間事情が重なって、日本列島上での生き残りそのものにかかわっている。
原発の危険は狼少年ではない。危機は思考停止を招き、破滅にいたるまで自覚されないというのは、歴史が教える人間 世界の理(ことわり)ではある。しかし人間世界の理なら、危機を真正面から見据えた上で、生き方を根本から修正して、危機を転じて福にしたいと切に望むと ころだ。
私はいま、私なりに勉強して、原発について次のように考えている。
• 原発は、当局やマスコミが、その危険性をひた隠しにしてきたが、人間の閾値を超えた魔の技術であり、私たちの生存そのものを脅かすので、全面廃止すべきである。原発を廃止しても、電力不足で経済が壊れることは決してない。
• 全電力供給に占める原子力発電は 29 %に過ぎない。新しい日本づくりは、膨張し過ぎた「我欲と贅沢」の1 / 3の贅肉を削ぎ落とすことから始める必要があるが、原発廃止による電力減は1 / 3であり、ちょうど贅肉をそぎ落とす水準でしかない。国づくりは、この電力水準から始めておおむね妥当と考える。
• 仮に現在の電力需要を前提としても、原発廃止で経済破局などには決してならない。自然エネルギーの創造で原発廃止分は充分に補えると考える。
• 国家百年の大計には、「こうやろう」という国民の意思こそが戦略的に大切である。日本人はこれまで、明治期と昭和の敗戦期に「西欧に追いつけ追い越せ」という国家目標を立てて、見事に達成した実力をもっている。
ならば、新しい量産エネルギーの創造も、国家的目標を設定しさえすれば、十二分にできることである。高度経済成長 期には、埋め立てや高速道やダムなどのインフラ投資を行って、国力を高めてきた。いま、これらに代わって、自然エネルギーの創出に向けて、新しいインフラ 投資を戦略的に行えば済む。
• 「自然エネルギーの発電力は、微々たるもの」と喧伝されているが、そんなことは決してない。たとえば太陽光発電、小規模水力発電の以下の例を見ても、十分に戦略エネルギーの資格をもっている。
*農地の 20 %に太陽光発電パネルを敷設すれば、 5,000 万 kwh の電力を創造できる。これは電力総需要量: 12,000 万 kwh の 42 %に当たるという。
*住宅の屋根で3 kwh を発電すれば、 1,000 万世帯で 3,000 万 kwh (同 25 %)となり、
*日本の河川は天然のエネルギー源である。大型ダムのように自然破壊せずに、全国の河川で小規模水力発電を行えば、 1,400 万 kwh (同 12 %)を創造できるという。
• 原子力発電価格は圧倒的に安いという。本当にそうなのか。原発は、安全制御、地震対策、各種補償、廃棄物処理等等々、気が遠くなるほどの課題と厖大な費用 を背負っている。隠ぺいと虚言を繰り返してきた当局と電力会社が公表作成した数値が、これらの厖大な費用まで組み込んで、フェアーな計算によるものとは到 底信じられない。
• 新技術の価格は、技術の普及に従って劇的に低減するのが、経済界の経験則である。かって太陽光発電で、日本の業界は世界一であった。政府のエネルギー政策 不在のあおりを受けて、日本の力は凋落してしまったが、捲土重来、新しい国家戦略を追風に、熾烈な業界競争が、太陽光発電価格の大幅に低減できることを、 経験則は予知している。透明性に欠ける数値で、日本の今後を語ってはならないと思う。
以下、原発の恐ろしさを、ぜひとも皆さんに認識していただきたいと願うものです。
■恐るべき原発事故の被害規模
1960 年日本原子力産業会議が科学技術庁原子力局に提出した極秘文書
• 事故想定:茨城県東海発電所(出力 16.6万キロワット)で大事故が発生し、わずか 2 %の放射能を放出したと仮定。
• 想定被害:大量の死者が出て、(気象条件によって)農業制限地域は、長さ 1,000km の日本全土にわたる。(関東から 1,000 km=北海道、関東から 1,000 km=鹿児島)
現在稼働している 54 基の出力は、この東海発電所の数倍から 10 倍近くに大型化しているので、実際の被害規模は大幅に拡大する。
■地震国・日本列島は、原発には超危険地帯
①日本列島は、海底から盛り上がってできて以来、まだわずか 1,500 万年で、地球の歴史 45 億年から見ると、若い島である。
• 日本では、現在も海底火山の噴火が起こり、造山活動が続いている。この造山活動によって地下の内部に亀裂と断層が出来、現在全国で地震を引き起こしている。
具体的には、日本列島を縦断する、世界最大の活断層「中央構造線」がそれである。
何と原発は、鹿児島県川内原発、愛媛県伊方原発、静岡県浜岡原発、茨城県東海原発、福島県福島原発が、ご丁寧にこの中央構造線沿いに配置されている。
• 地球の表面は、プレートという岩盤でできていて、毎日少しずつ動いている。日本列島は、 3 つものプレートが重なり合っている、世界で唯一の危険地域である。(ユーラシアプレートの下にフィリピン海プレートが沈み込み、フィリピン海プレートの下 に、太平洋プレートが 8,000m の日本海溝に沈み込んでいる。)何と、浜岡原発は、これら3つのプレートの境界そのものの上に建設されている!
④太平洋プレートは日本列島を絶えず 8 ~ 9 ㎝押しており、日本列島は絶えず伸縮し、移動している。(男鹿半島は毎年 5 mも移動している。)
• 地震学者の間では、若い日本列島は戦後の地震静穏期を終わり、 1995 年の阪神・淡路大震災あたりから、地底の激動期に入り地震の活動期に入ったと言われている。
⑥外国の原子力保険プールは、日本の原発震災を恐れ、地震を含めた損害の再保険を引き受けてこなかった。
■頻発する最近の地震歴
* 1854 年(安政元年):安政東海、南海大地震:マグニチュード( MT ) 8.4
* 1891 年(明治 24 年):濃尾地震: MT8.0
* 1944 年:昭和東南海地震: MT7.9
* 1946 年:昭和南海地震: MT8.0
* 1945 年:直下型の三河地震
* 1948 年:福井地震
* 1989 年:雲仙普賢岳群生地震→普賢岳噴火
* 1995 年:阪神・淡路大震災: MT7.3
* 1997 年:鹿児島県川内地震: MT6.2 →川内原発を襲う
* 2000 年:三宅島大噴火
* 2000 年:静岡県御前崎で地殻変動(東海地震の予兆と言われる)
富士山で低周波地震発生
*2000 年:鳥取西部地震: MT7.3
* 2004 年:浅間山中噴火
* 2004 年:紀伊半島沖連続地震: MT7.4
* 2004 年: 2007 年:新潟県中越地震: MT6.8
* 2005 年:宮城県沖地震: MT7.2
* 2008 年:岩手・宮城内陸地震
* 2009 年:鹿児島県桜島噴火
* 2009 年:駿河湾地震: MT6.5 →浜岡原発を直撃
* 2011 年:東北地方太平洋沖震災: MT9.0
MT8 は、MT 7.3 の 11.2 倍の破壊力であり、MT 9 は、実にMT 8 の 30 倍の破壊力であるという。せいぜいMT8しか想定していない原発が、本当に 30 倍もの激震に耐えられるものなのか。なお、政府の地震調査研究推進本部は、今回の東北地方太平洋沖震災が起こる前に、「 MT8.0 ~ 8.5 の東海地震が、今後 30 年以内に起こる確率は 87 %」という見解を発表している。
■あまりにも脆弱な原発の耐震性
① 足りない耐震性設計の実態
地球の万有引力に逆らって、すべての物体を宙に浮かせるエネルギーは、重力速度 980ガルであるが、柏崎刈羽原発(地震災害後、設計変更した)を除いて、すべての原発の耐震性がこのレベル以下でしかない。
• 実際に経験した激震の加速度
* 2000年の鳥取西部地震( MT7.3 )では、観測史上最大の 1,482ガルを記録した。
* 2004年の新潟県中越地震( MT6.8 )では、川口町で 2,515 ガルを記録し、新幹線の橋脚を破壊した。
* 2008年の岩手・宮城内陸地震では、岩手県一関市では、何と 3,866 ガルもの上下動を記録した。
• 原子炉とタービンをつなぐ、水冷のための金属パイプ破断の危険
原子炉の建屋とタービン建屋は別々の建物で、地震があると別々に揺れる。金属パイプは、この別々の建屋をつないでいる。 高温度の熱水や水蒸気が激しい勢いで流れている金属パイプには、原子炉とタービンの大きな重力が作用している。地震が起こり、上下左右に バラバラで大きな機械的ショックを受けると崩壊する。1854 年の安政東海大地震の記録では、 1 ~ 2m の隆起が発生しており、機械的なショックの深刻さを物語っている。特に、パイプは、それぞれが溶接でつながれているので、地震のショックで破壊する可能性 が最も高いのは、欠陥を含む溶接個所である。巨大な配管が破断すれば、原子炉の水蒸気はそのまま噴出しもはや打つ手はない。
④ ステーション・ブラックアウトの恐怖
1 ~ 2m もの隆起と長時間の揺れで、発電所内の電気配線が切れてしまう恐怖。原子炉の建屋は耐震性強固につくられているが、周囲に接続する送電系統やタービンなど の耐震性は、一般的な建造物と変わらないものを多数含んでいるので、地震で完全停電になる危険性があり、その際は、原子炉が暴走しても打つ手はない。
( 2010 年 6 月 17 日に福島第 1 原子力発電所 2 号機で、電源喪失事故が起き、あわやメルトダウンに突入かという事故が起きている。地震とは無関係にである!)
• 地震が起きて、制御棒を無事に挿入できるか?
できなければ、原子炉を停止できない。制御棒は、4つのブレードをもつ十字形であり、大地震では、縦揺れと横揺れが同時に襲ってくるので、制御棒が周囲にぶつかって正常に挿入されない恐れが高い。
*浜岡原発では、過去地震がないときに、制御棒脱落事故を 2 度起こしており、
2009 年の駿河湾地震では、運転中の5号機で、わずか MT6.5 の地震で、制御棒 250 本のうち 30 本で、駆動装置が故障したと報道された。
⑥ 津波の恐怖
*すべての原発は、海水で原子炉を冷やす必要があるので、海岸に建設されている。海岸は、津波の危険に面している上、波で岩石が浸食され、砕かれて海岸の砂になった、不安定で地滑りを起こす軟弱な土地で、耐震性にも難がある。
*今回の震災で、津波の恐怖が現実となったので、恐怖の理由は省略するが、看過できない事実がある。 10m を超える津波は、今回が初めてではない。1983 年の秋田県能代沖で発生した日本海中部地震(マグニチュード 7.7 )で、山形県、秋田県、青森県の直線的な日本海側の海岸(リヤス式海岸でなければ津波は大したことはないと言われていた)に 10m を超える津波が押し寄せ、死者 100 人の犠牲者を出していた。
■本当に怖いのは体内被曝
放射能は、自然界の食物サイクルで濃縮される。今回の事故では、放射能を含んだ水を放出後、海の汚染度はまだ低 いなどと、いい加減な発表がなされているが、本当に怖いのは、その時点の汚染度ではなく、食物サイクルを経た後に起こる体内被曝である。米国・ハンフォー ドの再処理工場で、恐ろしい測定結果が発表されている。
・プルトニウムの生産工場である再処理工場の工場排水が流れ込むコロンビア川で、科学者が放射能を測定した。
・川の水の放射能を基準1として、
・プランクトンでは 2,000 倍に濃縮され、
・プランクトンを食べる魚では 1 万 5,000 倍になり、
・魚を食べるアヒルでは、4万倍になっていた。水鳥では 50 万倍、水鳥の卵では 100 万倍もの濃縮が起きていた。水の中の濃度が微量であれば大丈夫というわけでは決してない。
■目途のない廃棄物処理
①原子炉を運転した後に出てくる放射能は、ウラン鉱石に比べて、1億倍にも高くなるという。 2009年米国政府はオバマ政権誕生後に、「高レベル放射性廃棄物は、 100万年監視しなければならない」と発表した。
②廃棄物埋め立て容器の脆弱性
*高レベル放射性廃液をガラスで固めて、ステンレスの容器に入れるが、その容器は紙のように薄く、厚くできな い。なぜなら、放射性物質が永遠に大量の熱を出すので、熱を外に逃がすために、薄くせざるをえないからである。したがって、この容器は、地下水と接触する と腐食し始め、数十年で壊れてしまう脆弱なものでしかない。
*ステンレス容器は鉄製の容器に入れ、粘土で固めるが、鉄器を地中に埋めると、一定期間でボロボロになるし、粘土は、水を含んだケイ酸アルミニウムを主成分にするので、高温の状態で置いておくと、カラカラにひび割れてしまう。
*これを地中深く( 300 m以深)埋めることとなっているが、地中には、この容器が苦手とする地下水が流れており、地下水が侵入すれば、放射性物質は、地下水脈を通じて広範囲に流出することとなる。
■廃棄物処理の現実例
① 1995年:イギリス・フランスで再処理された後の高レベル放射性廃棄物が、青森県六ケ所村に強制搬入された。
②また 2003年頃には、六ヶ所村に、使用済核燃料からプルトニウムを取り出すための再処理工場が建設された。
③再処理されたこの高レベル放射性廃棄物は、液体であるため、この管理に失敗すると、その濃度の濃さもあり、原子炉の大事故を上回る大災害を招く危険がある。
④高レベル放射性物質の危険に関する深刻なレポートが存在する。 1976 年に西ドイツのケルン原子炉安全研究所が内務省に提出した極秘レポートである。いわく「万一冷却装置が完全に停止すると、爆発によって工場の周囲 100 kmの範囲で、全住民が致死量の 10 倍から 200 倍の放射能を帯びて即死し、最終的な死亡者の数は、西ドイツ全人口の半分に達する可能性がある。」
⑤このレポートは、全国から放射性物質を集めた再処理工場が爆発すれば、原子炉を 100基まとめて爆発させたと同じような結果になることを示唆しており、再処理の危険性はほとんど脚光を浴びてないが、その凄まじさは脅威である。この危険は、六ヶ所村が大地震に襲われて、貯蔵タンクの冷却配管が折れただけで起こる爆発事故であるが、その六ヶ所村には、2008 年に変動地形学の渡辺東洋大教授、中田広島工大教授、鈴木名大教授が、詳しい地形調査をした結果、処理工場の直下に、これまで発見されなかった 150 km以上の活断層がある可能性が高く、 MT8.0 を超える大地震を引き起こす恐れがあると警告しているとのことである。
■受け容れ余力なし!…放射能廃棄物は垂れ流し
*放射性廃液にガラス粉末を混ぜて、爆発しない固化体にする再処理技術をフランスから導入して再処理を始めかけたが、 2006 年に東海村、 2008 年に六ヶ所村でデッドエンドの壁にぶち当たってしまい、行き詰ったままである。
*従って、3,000 トンの容量をもつ六ヶ所村の巨大プールも、2009 年 7 月末までに 3,014 トンの使用済核燃料を受け容れてしまっており、プールは満杯の状態にあり、もう全国の使用済核燃料の 1 年分( 900 ~ 1,000トン)さえ受け容れることができない危機的状況にある。いま原子炉は、引き受け手がないまま、毎日使用済核燃料を出し続けているが、原発のサイト内で使用 済核燃料を保管できる年数は、単純平均で 7.3 年しか残っていない。全国の原子炉は、このまま運転を継続すれば、いずれ高レベル廃棄物(死の灰)が溢れて運転を停止せざるをえない深刻な状況にある。
• 東海村と六ヶ所村では、再処理に失敗し、固化できないままの放射性廃液が、それぞれ 385 立法メートル、 240 立法メートル溜まったままで、必死に冷却している状態にあり、この冷却に失敗し、水素爆発を起こせば、日本全土が終わりになるというレベルの危険を背負ったままである。六ヶ所村の工場が直下に活断層を抱えていると同じく、冷却をし続けている東海村の廃液保管施設も、 100 kmの距離に長さ 82 kmにおよぶ関東平野北西縁断層とよばれる活断層をがあり、これが動けばマグニチュード 8. の大地震が起こることが分かっている。
■地球温暖化防止に逆行
原発では、原子炉で生まれる熱出力の1 / 3が電気出力となる。従って、電気出力の 2倍という大量の熱水を海中に捨てて、海を加熱し、沿岸の生物を根絶やしにしている。熱排水の量は、全原発 54 基の電気出力 4,911 万 kwh の 2 倍の 1 億 kwh で、毎日、広島島原爆 100 発分の熱を海に捨てている換算になるという。これが地球温暖化防止や環境保護の切り札と目されている原発の実態である。
■日本だけで迷走している高速増殖炉
全国にある商業用原発はすべて軽水炉であるが、福井県敦賀市のもんじゅは、高速増殖炉である。これは、燃料を軽水炉に比して 100 倍も効率的に活用できるのというものであるが、熱伝導の良さから選定されたナトリウムが有する強い金属腐食力、酸素と水との猛烈な反応性(金属ナトリウム は水と接触すると、爆発的に炎上し、空気に触れるだけで発火する)、不純物が混じった場合の複雑な化学処理の必要性などで、危険極まりない技術である。 1951 年に運転開始したアメリカは、 1955 年、 1966 年に炉心溶融事故を起こし、1984年には高増殖炉を全面廃止した。イギリス、ドイツ、フランス、ロシアも重大事故を続発して、増殖炉の運転を断念している。日本だけが増殖炉に固執しているが、何度も事故を起こし、1966 年には動燃の総務部次長が自殺(他殺?!)、2011年には日本原子力研究開発機構の燃料環境課長が自殺するという異常事態を生じるなどして、実質的には破たんしている。現在もまだ性能試験運転という名目で運転している。この増殖炉は、軽水炉よりはるかに高温で運転されるため、運転時と運転を止めたときの金属の膨張・収縮が過大である。この膨張・収縮の力を 吸収するために、配管金属は薄く、曲がりくねらせて配管することが必要となっており、地震に対して脆弱な設計になっている。(水蒸気をつくる部分は、金属 の壁一枚をへだてて、圧力差が 130 気圧もあり、そこにナトリウムと水が隣り合わせに流れているので、ここが破れると、ナトリウムと水が爆発的に反応して、日本は一巻の終わりとなるレベルの 事故になるという。)このもんじゅの敷地の直下には、長さ 15kmの白木・丹生断層が走り、沿岸には長さ 18 kmのC断層という活断層が走っている。
■閾値を超えたプルサーマル
従来の軽水炉で、ウランよりもはるかに核分裂し易く暴走し易いプルトニウムを燃料に発電するもので、制御不能の危険性をさらに増長する危険きわまりない発電法である。
• まず、核暴走し易いプルトニウムが大量に使用される場合、プルトニウムが中性子を大量に吸収し、その周囲の中性子が減っているため、いざ緊急時に中性子を 吸収して核分裂を停止させる制御棒を挿入しても、停止機能が遅れる。とりわけ運転中に地震が発生すれば、現在でも危険過ぎる原子炉が、 100 万分の 1 秒の単位で急速に出力上昇するので、ごくわずかな停止の遅れであっても、チェルノブイリ型の大爆発事故に突入する恐れが高い。
• プルサーマルで使用される MOX 燃料(ウランとプルトニウムの混合燃料)は、従来の軽水炉で使用されてきたウラン燃料に比して、放射能のレベルが、γ線で20 倍、中性子線で1万倍、α線で 15 万倍という極めて危険な物質である。
■深刻な施工ミスによる大事故の発生
以上の原発災害は、どれも設計通りに原子炉がきちんと建設されていることを前提にしても起こるものである。さらに 恐ろしいことに、原発内部の技術者(注)によると、設計通りに建設されていない設備、装置が多々見られ、そのために異常事故を頻発してきた実績があるという。今回の福島原発でも、電源喪失の原因が、初めは津波のせいにされていたが、後に津波発生の前に電源を喪失していたと訂正されたが、設計上は、耐震性に 問題はないとされてきた箇所で起きた事故である。内部技術者 ( 注 ) は、以下の実例を告発している。
• 1987 年:福島原発で、理由不明の異常停止
• 1989 年:福島第 2 原発で、再循環ポンプがバラバラになった大事故
• 1991 年:美浜原発で細管が破断し、大量の放射能を空気中に放出
自動停止装置が働かないので、 ECCS (緊急炉心冷却装置)を手動で停止した。
調査の結果、事故原因は配管の施工ミス。二ミリくらいの細い配管についている触れ止め金具(何千本もある細管が振動で触れ合わないようにしてある金具)が設計通りに入っていなかったのが原因だという。
• 1993 年:女川原発の 1 号機が、震度 4 で出力急上昇し、自動停止(設計では震度 5 で停止することとなっていた)
• 1995 年:もんじゅでナトリウム漏れの大事故が起こった。原因は、配管同士の寸法が合わないものをつないでいたためだった。メーカーの配管規格が、日立では 0.5 mm以下切り捨て、東芝、三菱では 0.5 mm以下は切り上げ、日本原研では 0.5 mm以下切り下げとちがっており、これらを同じ配管としてつないでいた。
(注)日立から引き抜かれて、原発の現場の技術責任者を長年務め、最後は放射能被曝して 1997年に死亡した技術者が、施工段階のミス事例を告発している。
以上を勉強して私は、原発は私たちの生存そのものを脅かす危険極まりないもので、廃止すべきと考えるようになりましたが、みなさんはどのようにお考えですか? 【工藤】