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社長コラム

工藤さん

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天皇制と私たち

2017年7月号

 メンバーの岩崎さんから、貴重なご提案をいただいた。…「今回の譲位を機に、我々ももう一度、皇室、天皇をイデオロギーを離れて勉強し直しては如何でしょう。講師としては、小田部雄次静岡福祉大学教授も面白いのではないかと思っています」…。

 おっしゃる通り、私たち日本人は、天皇制についてイデオロギーに振り回されてきた感があり、右系には絶対是であり、左系には根本否と、極端に受け止めが分かれています。
しかし本当のところ私たちは、2000年にもわたり日本社会の背骨をなしてきた天皇制の何たるかについて、正面から真摯に向かい合ったことはないのではないでしょうか。

 かって戦後日本の知性と称された丸山眞男氏は、天皇について「主権者として統治権を総覧し…統帥権はじめ、諸々の大権を直接掌握していた天皇が…現に終戦の決定を自ら下し、幾百万の軍隊の武装解除を殆ど摩擦なく遂行させるほどの強大な権力も持ち続けた天皇が、あの十数年の政治過程とそのもたらした結果に対して無責任であるなどということは、およそ政治倫理上の常識が許さない」と断じ、いわゆるインテリ層の心を長い間鷲づかみにしてきた。
憂国の士・櫻井よし子氏は、皇室について「どんな時代にも、皇室は民のための祈り、国家安寧のための祈りを最重要の責務となしてきた。民への想いは、聖武天皇のお妃である光明皇后が悲田院、施薬院を創られた頃から明確な形を取ってきた。国民のために祈り、尽くすことを存在の根本とする皇室は、福祉という言葉もなかった時代から、民のために力を尽くしてきた」と述べている。

 日本をこよなく愛するドナルド・キーン氏は、天皇について「日本にはいつでも天皇陛下がいらっしゃったし、だから、私たちにも天皇陛下がいらっしゃらなくてはいけないんじゃないかと思うんです…というのが、たいがいの日本人の天皇に対する曖昧模糊とした感情である」、「知識階級は天皇が果たしてきた歴史的な役割や、日本国民の象徴としての価値について論じるかもしれないが、はるかに多くの日本人にとって、天皇は依然として人格化された権威である」
小学校6年生のころから70年近く『天皇』問題にこだわり続けてきたという田原総一朗氏は、大著「日本人と天皇」で、

◇なぜ日本人は、2000年近くも一貫して天皇を存続させてきたのだろうか
◇なぜこの国で天皇は、一度として排除されることなく存在し続けたのだろうか、を検証し論じている。

 そして氏は、「野心に燃え、支配力もあり、いささかでも危険な存在は躊躇なく取り除いた権力者たちが、なぜ例外なく天皇を存続させたのだろうか。これはそれぞれの権力者の恣意性ではなく、世界に類のない日本民族の特殊性と言えるのではないだろうか」と断じ、70年にわたってこだわってきた天皇についていま、氏は、次のような感慨を述べている。「昭和天皇は太平洋戦争の回避を懸命に考え、戦争を始めた陸海軍幹部の愚行、そして戦争の悲惨さ…愚かしさを誰よりもよく知っているはずで、その昭和天皇にできるだけ長く生きて、そのことを真摯に国民に示してほしいと思うようになった…。現在の天皇と皇后も、昭和天皇の思いを見事に受け継いでおられると私は捉えている」。

 2000年にもわたって日本社会の背骨をなしてきた天皇制…。私の心の中は、この世界的な奇跡の受け止めについて分裂症的である。   
「天皇陛下、バンサーイ!」と青春を捧げる職業軍人だった父の天皇観を生理的に受け継いできた自分…大学の法学部で、学問の対象として、批判的に学んだ天皇制…そしてひとりの国民として、天皇、皇后陛下の報道に接する穏やかな心根の自分…しかし一方で極端な皇室フィーバーに不快をもよおす自分…私の中には、いくつもの異なる自分が居る。

 私も間もなく75歳。この辺で、素直な自分の天皇観をもちたいと思い、皆さんと一緒に学びたいと願い、賛同者を募るものです。   
 受講希望者が10人を越えたら開講したいと思っています。会員でない方にも開放してはどうでしょう、ぜひお友達や若者もお誘いくださいますよう!

【工藤】

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